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エネルギーと資源を維持・最適化すること

リソースには限りがあります。プロジェクトで利用できるリソースには限りがあり、あなたが適切な決断を下すために必要な精神的エネルギーにも同じく限りがあります。だからこそ、自分とプロジェクトのために、あなたはそのリソースを温存しながら、最適に活用しなければならないですし、チームメンバーにもそのように促すべきです。

例: 80/20の法則

プロジェクトマネジメントから得られるベネフィットの大部分は、わずかな労力を費やすことで得ることができます。ほとんどの場合、可能性のあるベネフィットの100%を得ることを目標とすることは、非常に高くつき、正しいことではないでしょう。あなたが行うすべての行動においてこのルールを適用できないかを考え、他の人にも同じようにするよう勧めるとよいでしょう。

例: 決断疲れ

私たちはあらゆる種類の決断を下すために、また意志の強さを表明するために、ある種の精神的エネルギー源を使います。もし必要ではない、あるいは重要でない決断をするためにこのエネルギー源をたくさん使い切ってしまうと、本当に重要な決断をするためのエネルギーが枯渇し、悪い結果を招く可能性があります。これが、マイクロマネジメントを避けるべき理由のひとつです。(PRINCE2®の「例外による管理」の原則)

アイデアにおける対立というのはプロジェクトの為になり得ますが、人間関係に関する対立はたいていの場合プロジェクトにとって有害となります。そのような対立を目にしたら、すばやく根本的な原因を見つけ、解決するために最善を尽くすべきです。

例: 自分を大切にする!

あなたが下す決断や意志の強さは、あなたの精神的エネルギーの源を多く使います。一方、睡眠や食事がきちんと摂ることで、このエネルギー源は満たされます。だから、十分な睡眠と休息をとり、よく食べるなど、自分自身を大切にする必要があります。もしあなたが有害な習慣や睡眠に問題を抱えている場合、一人で対処する必要はありません。そのような問題を解決してくれる専門家はたくさんいます。運動することが助けになるかもしれませんが、これに関しては研究でこれといった結論は未だ出ていません。

チームのメンバーにも、あなたと同じことをするように勧めてみてください。まず、彼らが持続可能なペースで、あまり残業せずに働くようにし、もし可能なのであれば、勤務時間中にエネルギッシュな健康によい食べ物、スナック、飲み物を提供するとよいでしょう

例: ワークライフバランス

私たちの多くは自分の仕事を好きかもしれませんが、仕事が人生で必要なもの全てではありません。仕事を最適化するのと同じように、私生活においても、楽しく幸せなものになるようなアイデアを計画し、実行すべきです。あなたがより幸せであれば、仕事でもより成功することができるのです。できれば、チームのメンバーにも同じようにするよう勧めてみてください。

例: モチベーション

モチベーションとは複雑な概念です。このトピックに関する興味深く有用な文献等もあれば、非科学的な情報もたくさんあります。とはいえ、モチベーションについては、継続的に学び、活用していくすべきです。なぜなら、モチベーションはチームの精神的エネルギーを高め、プロジェクトにより良い結果をもたらす可能性を高めるからです。

微笑みかけたり「ありがとう」とたった一言声をかけたり、ちょっと相手の良い仕事ぶりを認めることで、モチベーションを高めることができます。ただし、少額の金銭的報酬といった、よくあるモチベーション向上策に関しては、マイナスの効果もあるので、注意が必要です。

例: 共同作業とチームワーク

共同作業することで、人はより良い結果を生み出す力を持つのかもしれませんが、それ以上に重要なのは、そもそも人間は社交的な生き物であり、グループの一員であることを楽しむものだということです。チームワークのマイナス面を取り除き、快適な環境を作ることができれば、プロジェクトに参加するチームメンバーはよりハッピーになるでしょう。

とはいえ、人はそれぞれ異なるものです。よりリラックスし、集中して、独りの時間を必要とする人もいれば、そうでない人もいるでしょう。これについてはバランスを取ることが求められます。

例: ワンチームカルチャー

様々な利害関係者たちが小さなグループを作り他のグループと緊張を引き起こすことがあります。例えば、プロジェクトのビジネス面を重視する人たちと、製品を作る人たちとの対立。このような緊張は、双方のエネルギーを大量に消費してしまいます。こういったことを避けようという試みの1つが、全員が同じ目標に向かって協力し合う、ワンチームカルチャーを築こうという活動です。

例: 群衆の叡智

多様性のある多くの人々が集まり、円滑な環境で仕事をすれば、非常に優れた結果やアイデア、解決策を得られる可能性があり、それは一人の専門家のそれよりずっと優れているかもしれません。

もしそのような環境を選べるのであれば、プロジェクトの難しい問題を解決するために、その多様性のあるチームメンバーたちに助けを求めることができるでしょう。これには、良い答え・結果が得られるかもしれないというだけではなく、チームメンバーは自分の意見を聞かれ、感謝をされ、プロジェクトで重要な役割を果たしていると感じることができるという良い効果もあります。このことはチームのエネルギーレベルを高めることに繋がります。P3.expressのアクティビティE02は、プロジェクトにおける群衆の智慧の活用例の1つです。

例: チーフ・プロジェクト・ファシリテーター

もしあなたがプロジェクトマネージャーなら、あなたが行うことのほとんどはファシリテーション的な性質を持っているでしょう(少なくとも、そうであるべきです)。その一方で、チームメンバーが過去にプロジェクトマネジャーに嫌な思いをさせられた経験があり、その経験があなたとの関係に影響を与えていることを知る場合があるかもしれません。その時、チームメンバーのエネルギーの一部は、あなたを信頼する代わりに、潜在的な脅威がないかどうかあなたの行動を分析することに費やされているのです。こういった場合、肩書きをプロジェクトマネージャーからチーフ・プロジェクト・ファシリテーターに変えてもいいでしょう。結局のところ、それがプロジェクトにおけるあなたの本当の仕事なのだから。


翻訳者: Takashi Izumoto


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